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箱ふぐ日記

みんな ええようになったら ええなぁ

Alexander Mcqueenと映画『SUPER FOLK SONG ~ピアノが愛した女。~』

所感 日記

10月から通い始めた職業訓練校も折り返しを迎えた。

 

職業訓練校に通うのは自慢じゃないけど2回目で、前回は9年ほど前で3ヵ月のコースだった。

今勉強してることと分野としてはほぼ同じだけどブランクがあるし職場で見よう見まねと独学で覚えた部分もあったので、前回より訓練期間が倍の半年で求めるカリキュラムのある今回のコースを選択した。

 

通い始めはそれまで伏せっていた反動と、多彩で優しいクラスメイトに恵まれたおかげで浮かれていた。でも“万事快調って訳にはいかないみたいね"(©ピチカート・ファイヴ)って歌もあるように、年末年始は沈んでいた。

 

ヤケでほんとは飲んじゃいけないお酒を飲み、懐具合も弁えないで電気グルーヴのライブDVDを買い、副音声で再生して馬鹿笑いしながら繰り返し見た。

 

DVD以外にはPinterestに入り浸って、元々好きだったAlexander Mcqueenのショーの画像をひたすら眺めていた。

もちろん、あんなハイブランドの服は鑑賞用でとても私には手が出せない。服飾の知識もない。「きれいだなー、かっこいいなー」と惚れ惚れしながら眺めてるだけだ。

 

ただ、ファッションと芸術の境目(そんなものがあるかは分からないが)の綱渡りを続け、服がなし得る可能性と美しさをひたすら求めているように見えるマックイーンの服を見てると勇気付けられる。

ジバンシーのデザイナーを務めた時は相当叩かれて、後々本人も「引き受けるべきではなかった」と語っていたらしいが、どの時期の作品を見ても誇りと美への尊敬があって勇猛果敢な姿勢に励まされてるような気がしてくる。

 

どの時期も今のサラ・バートンに代わってからの作品も好きだけど、1996年~2001年あたりはのびのびと作ってるように感じられて、特に目を引く。(と思ったけど2008年もいいし、2015年もいいなー…ジバンシーのも好きだし。選ぶの難しい…)

 

そんな風に現実逃避している内に年末年始の休校期間が終わり、授業が再開した。残りの期間はあと2ヵ月ちょっとしかない。何をしていても時間はどんどん過ぎていく。でも、自分自身の駒を進める勇気は萎えたままだった。

 

そうしてPinterestを眺め続けてるうちに、マックイーン本人のことを考え始めた(他にやるべきことあるだろ私…)。

彼は2010年に自宅クローゼットで自ら命を絶った。16才からテーラーの仕立て職人として働き始めた後に名門校で学び、高名なスタイリストに見出され、天才と評された。でも、それほど名声を得た彼も自殺してしまうほどの何かを抱えていた。

 

マックイーンの服に限らず、私がうっとりと眺めて憩いや勇気を得ている作品は、誰かの途方もない苦悩や努力で作られている。

私はこのままずっと、それを鑑賞してるだけでいいの?

 

そんなことを悩みながら、何か糸口がつかめるんじゃないかと期待して、一昨日映画『SUPER FOLK SONG ~ピアノが愛した女。~』を見に行った。

1992年の矢野顕子のピアノ弾き語りアルバム『SUPER FOLK SONG』のレコーディングを撮影したドキュメンタリー映画だ。

 

矢野顕子の演奏はいつも「歌が歌えて、ピアノが弾けるってなんて楽しいの!」 という幸福感に満ちている。でも、モノクロで映し出されるこの映画では、思うようにいかず時に鍵盤を叩くほど苦しむ、今まで見たことのない矢野顕子の姿が映し出されていた。

 

エンジニアにマイクの位置の調整を頼む声ですら音楽に聞こえる。歌声は滑らかで情感たっぷり。彼女に弾かれるスタンウェイは絶対幸せだと確信するほど、ピアノの演奏もリズム感も並外れて素晴らしい。そんな天才以外の何者でもない矢野顕子は、自分自身を信じながらも易々と音楽制作をしていたわけではなかった。

 

途中、アメリカでのマネージャーが録音現場に訪れ、矢野顕子を励ます言葉が忘れられない。

「ミスばかり気にしてるから、素晴らしい点に気がつかないんだ」

(※大意なので正確ではありません)

 

私は何をしても滅多に満足できない。例えば、料理がおいしく作れて誉められても、「あの時炒める時間を短めにしておけばもうちょっと食感がよかったのに」とか「カシューナッツよりもゴマの方がもっとおいしくできたんじゃないの?」とか悔やむ癖がある。

それだけにこの心優しいマネージャーさんの言葉はまるで私自身を励ますように響いた。

 

もちろん、思い悩む場面ばかりではない。なんとか満足のいく演奏ができて喜ぶ姿はとびきり可愛らしいし、録音がスムーズに進んでる間はライブに来た時同様にリズムに乗って歌と演奏を楽しんだ。

 

終演後パンフレットを買って読んでいたら、映画館で流したよりも多めの涙がこぼれた。

今回の再公開にあたっての矢野顕子のインタビューでの発言だ。

 

「私にとっては、私の音楽が生まれる場を、本来、人に見せるべきではないというか、見せるということが頭の中にないから。それを撮るのは彼(※映画監督)の仕事。私は自分の音楽を作ることをするだけ。だから彼らのためにサービスすることは一切やってない。」

(※パンフレットP.4から抜粋)

 

服だって音楽だって、「こんなに苦しんで悩んだ果てに作ったものです!」なんてことは、仕事仲間や友達に愚痴る以外言う必要はない。

 

作品が生まれた背景を知ることで、よりその作品を深く楽しめることはあるけど、それは受け取り手の領分だ。マックイーンや矢野顕子みたいな天才と比べるのは馬鹿げてるけど、自分のやるべきことをやっていくしかない。

 

もう1月も半分過ぎちゃったけど、再び少しだけでも歩みを進めよう。

 

 

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